地球のミライを環境と教育の視点から考えます。

2021年度 東京都公立高校入試 解答・解説 理科

 東京都の都立高校の入試が,2021年2月21日に終わりました。受検生のみなさんお疲れさまでした。どの高校もコロナ対策を万全にして実施されたようです。

2021年度都立高入試 理科 問題・問題概要

 問題は理科✕高校入試のページを御覧ください。

 大問のようすは例年と変わらなかったようです。回答形式では,同じ問で複数の答えがある場合は,全て正解しないとダメな問題がかなり増えました。また全て4点で,大問3〜6のうち,大問4の生物のみが3問構成でした。

問題内容
小問集合
〔問1〕ヒトの器官
〔問2〕音波
〔問3〕地震・主要動の始まった時刻の計算
〔問4〕イオン
〔問5〕遺伝
〔問6〕力のつり合い
レポート問題
〔問1〕動物の分類
〔問2〕平均の速さ,時速への換算
〔問3〕プラスチックの密度
〔問4〕星の年周運動と日周運動
天気の変化と気象観測
〔問1〕湿度と水蒸気量
〔問2〕天気の概況
〔問3〕前線の通過、高気圧の中心付近の空気の流れ
〔問4〕季節による典型的な気圧配置
ツユクサを用いた実験・観察
〔問1〕気孔のはたらき
〔問2〕光合成
〔問3〕呼吸と光合成
炭酸水素ナトリウムの熱分解
〔問1〕実験操作,pHの値
〔問2〕化学変化の種類
〔問3〕炭酸水素ナトリウムの質量と発生した気体の質量の関係を表したグラフ
〔問4〕混合物中の純物質の割合
電流と磁界
〔問1〕円形コイルの周りの磁界の向き
〔問2〕電磁誘導
〔問3〕電流を大きくする抵抗のつなぎ方
〔問4〕電流が磁界から受ける力

 やはりコロナの影響による学習の遅れを懸念したからか,大問3〜6は全て2年生までに(問5ではpHなど一部3年生の内容も出ていますが)学習する内容です。入試問題はおそらく早い段階で作られたと思うので,再度休校になることも想定してその場合でも対応できるようにしていたのでしょう。

2021年度都立高入試 理科 解答

問題解答
〔問1〕ウ
〔問2〕ア
〔問3〕エ
〔問4〕①ウ ②ア(完答)
〔問5〕エ
〔問6〕イ
〔問1〕①ア ②ウ(完答)
〔問2〕ウ
〔問3〕イ
〔問4〕エ
〔問1〕エ
〔問2〕①イ ②ウ ③ア(完答)
〔問3〕①ウ ②エ(完答)
〔問4〕ア→ウ→エ→イ(完答)
〔問1〕ア
〔問2〕①ウ ②イ(完答)
〔問3〕①イ ②イ(完答)
〔問1〕①エ ②イ(完答)
〔問2〕①ア ②エ(完答)
〔問3〕ウ
〔問4〕31(%)
〔問1〕ア
〔問2〕(回答例)コイルAの中の磁界が変化するから。
〔問3〕イ→エ→ア→ウ
〔問4〕①ア ②ア ③ウ ④ウ

2021年度都立高入試 理科 解説



2021年度都立高入試 理科 問1 解説

解説
問1ヒトの器官
 Aは胃,Bは小腸なので,消化された栄養を吸収する器官はBの小腸。
 Cは肝臓,Dは腎臓で,アンモニアを尿素に変える器官はCは肝臓です。Dの腎臓は尿素などの不要物を排出する役割があるところです。ここは少し迷った人もいるかもしれませんね。
問2音波
 オシロスコープで表した波形では,縦の振動の幅を振幅といい,音の大きさを表しています。また,横の波長が短いほど振動数が大きくなり,音が高くなります。
問3地震・主要動の始まった時刻の計算
 主要動をおこすのはS波ですので,S波の速さが分かれば,90km地点にS波が何秒後に到着したかがわかります。36kmのA地点と54kmのB地点の主要動が始まった時刻の差は4秒なので,S波の速さは18km÷4s=4.5km/sとなります。よって,54km地点から90km地点までS波が届くには,36km÷4.5km/s=8s。よって10時10分32秒に届くと考えられます。
問4イオン
 イオンの泳動実験です。食塩水を染み込ませてから電流を流しやすくして実験します。また,精製水やエタノール,砂糖水は非電解質なので,電流が流れません。
 青色リトマス紙につけて赤色に変わるのは,酸性の塩酸で,その理由は電気分解されて水素イオンを発生するからです。
 HCl → H+ + Cl
問5遺伝
 丸は優性形質(A),しわは劣性形質(a)なので,丸い種子は(AA)(Aa)のどちらか,しわの種子は必ず(aa)となります。今回は丸い種子としわのある種子をかけ合わせると丸としわが両方出てきたということなので,丸い種子は(Aa)となります。(AA)だとすると,全て丸い種子になるから違いますね。
 Aa✕aaは,Aa:aa=1:1となります。
問6力のつり合い
 力のつり合いは1つの物体に関する関係,作用・反作用は2つの物体に関する逆向き同じ大きさの力の関係です。

2021年度都立高入試 理科 問2 解説

解説
問1動物の分類
 A:イワシ・アジは魚類(脊椎動物)
 B:エビ・カニは甲殻類(非脊椎動物・軟体動物)
 C:タコ・イカは頭足類(非脊椎動物・軟体動物)
 D:二枚貝類(非脊椎動物・軟体動物)
問2平均の速さ
 実際の実験でもそうですが,自動車のどこを基準にしてどこまで進んだかを記録する必要があります。今回は,初めの方眼紙に前輪がちょうど乗っているので,それを基準にして考えるとよいですね。
 0.5sのときに3マス,0.6sのときに7マス進んでいます。1マスが5cmなので,0.2sで35cm進んでいます。
 平均の速さなので,35cm/0.2s=175cm/sとなります。
 選択肢を見ると,時速でしかもkmに直す必要があります。時速にするということは60s✕60m=3600をかけ,cmをkmにするには,100✕1000=1000000で割ることになるので,3600/1000000=0.036を175にかければ答えになります。よって,175✕0.36=6.3km/h。
問3プラスチックの密度
 ラベルは水に沈むということは,水の密度1g/cm3よりも大きな,ポリエチレンテレフタレート(PET)かポリスチレン(PS)ということになります。この時点で,PETは本体に使われているので,PSであると答えてしまっても良いと思います。時間があれば確認で見直しで計算しましょう。
 水は1cm3=1gなので,50cm3=50g。ここに,食塩15gを入れるので,全体の質量は50+15=65g。よって,食塩水の密度は溶質÷溶液=65/55=1.18g/cm3。よって,この食塩水には,PETのみが沈むことになり,PS,PE,PPは浮きました。
問4オリオン座が真南に見える時刻
 年周運動と日周運動について考えていきます。1年で星座の見え方は1周するので,図のように1ヶ月ではおよそ30°西に移動していきます。また,自転の影響で1日でおよそ1周するので,1時間でおよそ15°西に移動します。
 1月15日午後10時に真南に見えているので,2月15日午後10時は30°西に移動しています。よって,2時間前に真南に見えるので,午後8時頃ということです。

2021年度都立高入試 理科 問3 解説

解説
問1 全て湿度が同じということは,その気温で含むことのできる水蒸気量,すなわち飽和水蒸気量が大きいほど,その時刻における水蒸気量も多くなります。
 飽和水蒸気量は気温が高いほど大きくなるので,グラフから気温が高い順に選べばよいということです。よって,aが約15.5℃,bが約11℃,cが約7℃なので,c<b<aですね。早とちりして,アのA=B=Cを選ばないように。
問2 完答問題ですので慎重に。天気図記号をもとに答えましょう。3月31日はほとんどの天気が晴れ(◯に縦棒の記号)で,風向は南よりの風。若干西よりにも吹きますが,選択肢にないですね。日が昇るにつれて上がり,昼過ぎに最も高くなるのは気温です。
問3 前線Xが通過したとき,気温がぐっと下がっているので,寒冷前線であることが分かります。また,風向も南寄りから北寄りに一気に変わっていることが分かります。
 また,高気圧の中心付近は下降気流で,地上ではその空気が周辺へと吹き出します。低気圧は逆で中心付近は上昇気流で雲ができやすくなります。地上では空気が中心へと吹き込んできます。
問4 アは,停滞前線(梅雨前線)が日本付近で発達しているので,梅雨の天気。
 イは,西高東低の冬型の気圧配置なので,冬の天気。
 ウは,南高北低の夏型の気圧配置なので,夏の天気。
 エは,高気圧が低気圧に挟まれており,移動性高気圧と温帯低気圧が交互に西から東へと日本を通過していきます。天気が変わりやすいのは春・秋の天気。
 エは消去法で答えても良いでしょう。
 よって,ア→ウ→エ→イ。



2021年度都立高入試 理科 問4 解説

解説
問1 Aの気孔は酸素や二酸化炭素,水蒸気などの出入り口です。Bは孔辺細胞で葉緑体がよく見られる特徴があります。葉緑体では,光合成が行われます。
問2 光合成のはたらきを調べる際に,一度その植物を暗室で24時間置く理由は,葉にあるデンプンをなくすためです。そのまま実験をすると実験よりも前に光合成でつくられたデンプンが葉に残っているので,実験結果がわかりにくくなってしまいます。暗室に長時間置けば,植物自身の栄養として使われるので,ほとんど葉には無くなった状態から実験ができます。
 光合成に二酸化炭素が利用しているかどうかを調べるには,袋で閉じただけのCと水酸化ナトリウム水溶液が入っているEを比べればよいですね。
 二酸化炭素を吸収するために水酸化ナトリウム水溶液を利用しているのは面白いですね。(2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O)
問3 明るさと光合成量の関係です。植物でも呼吸は常に行われていますが,光合成は光があたっている時しか行われません。しかも,少しの光では,
(呼吸によるCO2放出量)>(光合成によるCO2吸収量)
となり,見かけ上は光合成が行われていないように見えます。そのため,実験後に,CO2の量が増えている袋Hでは,
(呼吸によるCO2放出量)>(光合成によるCO2吸収量)
の状態,CO2の量が減っている袋Iでは,
(呼吸によるCO2放出量)<(光合成によるCO2吸収量)
になっています。
 また,同様に明るいほうが光合成が盛んに行われているため,デンプンなどの養分ができる量が多くなります。

2021年度都立高入試 理科 問5 解説

解説
問1 炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験です。何度も都立入試で問われていますが,それほど重要で問題の題材としても使いやすいのでしょう。
① 熱分解の実験では,実験中は,試験管内の気圧が上がります。しかし,加熱をやめると,水蒸気などの気体が冷やされ試験管内の気圧が下がります。すると,外の気圧のほうが高くなるため,ガラス管でつながっている水槽の水が押され,水が逆流して試験管に流れ込んでしまいます。加熱をしていた試験管に低い温度の水が流れ込むと,ガラスが割れるなどして非常に危ないです。
② pHは(酸性)0〜(中性)7〜(アルカリ性)14という水溶液中の酸性・アルカリ性の指標を数値で表したものです。
 炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式は,
       2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
となります。フェノールフタレインなどで調べると,加熱前の炭酸水素ナトリウムはうすい赤色で,加熱後の炭酸ナトリウムは濃い赤色で,アルカリ性が加熱後の方が強いことが分かります。よって,pHも加熱後の方が大きくなることが分かります。
 しかし,この問題にはフェノールフタレインの実験結果も載せてよかったのではと思います。この実験結果,すなわち,炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの液性の違いを暗記しなければならないということですが,純粋にpHの問題で良かったのではないでしょうか。
問2① 分解が起こっているのはアで,酸化銀を加熱したときに起こります。イ〜エはすべて化合です。
 ちなみに,イはマグネシウムの酸化,ウは鉄の硫化,エは化学カイロのしくみにもなっている鉄の酸化(実際には水酸化物にもなります)で,発熱反応ですね。
②  炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式は,
       2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
 よって,Naは■。
問3 炭酸水素ナトリウムと塩酸の反応は,
       NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
 複雑そうに見えて,係数がすべて1という綺麗な化学反応式です。
 反応前の質量(塩酸+ビーカーの質量)は79.50gで,炭酸水素ナトリウムの質量を変えて実験しています。すなわち,この塩酸と炭酸水素ナトリウムを足した質量と反応後の質量を比較して,減少した分が外に逃げた二酸化炭素ということがわかります。
 下の表を参考にして,2.5gではすでに完全に反応しているので,2.5g以降が平らになっているウが正解。
問4 実験と同じく,塩酸10.0cm3で実験しているので,0.65gの二酸化炭素が発生する際の,炭酸水素ナトリウムの質量を求めればよいですね。
 グラフから読み取ると炭酸水素ナトリウムの質量は1.25gなので,(1.25÷4.00)✕100=31.25=31%
塩酸+ビーカー79.5079.5079.5079.5079.5079.50
NaHCO30.501.001.502.002.503.00
反応前の合計80.0080.5081.0081.5082.0082.50
反応後79.7479.9880.2280.4680.8381.33
出ていったCO20.260.520.780.941.171.17

2021年度都立高入試 理科 問6 解説

解説
問1 円形コイルの周りの磁界についてですが,平面上ではなく,空間的に問われる問題は非常に素晴らしいですね。
 直線的な電流の周りには,右ねじの向きに磁界が発生します。すなわち,コイルの下部で考えると,電流は左向きに流れるので,磁界は真ん中を左奥へ抜けるように発生します。同様にコイルの上部で考えると,電流は右向きに流れるので,磁界は真ん中を左奥へ抜けるように発生し,コイルの上部では図3と同じような手前側に向きます。よってアが正解。
問2 電磁誘導の理由を答える問題ですね。
 これもし,「電磁誘導が起こっているから」と書いたらどうなんでしょうかね。
問3 抵抗の直列接続,並列接続に関する問題です。
 全て計算しても良いですが,並列につなぐと一気に電流が通りやすくなることを考えると,イ→エ→ア→ウと答えてしまって良いと思います、
 しっかりと計算もしてみます。全体の抵抗をRとおくと,
 ア R=20+5=25Ω
 イ 1/R=1/20+1/5=4/20=1/5 R=5Ω
 ウ R=20+10=30Ω
 エ 1/R=1/20+1/10=3/20 R=約6.7Ω
問4 モーターの原理を説明した文章を埋める問題です。
① <実験3>の文章から,電流の向きは,c→dの向きに流れます。また,エナメル線が剥がされた部分が,軸受けと触れているので,電流が流れます。
② フレミング左手の法則を使い,磁界は下向きなので,Jの向きに力を受けます。
③ 図9の状態では,<実験3>の文章より,エナメル線が剥がされていない部分が,軸受けと振れているので,電流が流れません。
④ そのため,力を受けませんが,図8のときに受けた力をそのまま受けて回り,また図8のように戻ります。