玄武岩はなぜ玄武岩というの?
中学校1年生で勉強する火成岩の一つに,玄武岩という黒っぽい石があります。しかし,なぜ玄武岩というのか気になりますね。答えはある洞窟にありました。
玄武岩はなぜ玄武岩というの?
玄武といえば,中国の四神の一つですが,答えは兵庫県城崎温泉にある「玄武洞」という洞窟でよく採れたからということです。
火山噴火によってできた割れ目
約160万年前に,来日山(豊岡市城崎町)の噴火によって、山頂から流れ出したマグマが冷えて固まるときに、規則正しいきれいな割れ目をつくり出しました。
人の手で洞窟に
そして、約6000年前、波に洗われてその姿を現しましたが、人が石を採取したため洞となりました。洞窟は人の手によるものだったんですね。
玄武岩の中には,スコリアという火山噴出物が混じっており,地元で「灘岩」と呼ばれ,石垣などに用いられました。
柴野栗山が「玄武洞」と命名
江戸時代の文化4年(1807年)6月25日、幕府の儒官、柴野栗山が伝説上の動物玄武の姿に見えることから「玄武洞」と命名しました。
小藤文次郎博士が玄武洞の名を用いて「玄武岩」と命名
明治17年(1884年)には、岩石の日本名を定めるとき、東京大学の小藤文次郎(ことうぶんじろう)博士が玄武洞の名を用いて「玄武岩」と命名したため、今日でも玄武岩と呼ばれています。間接的ではありますが,由来をたどると中国の四神の玄武に繋がりましたね。
地磁気の逆転も発見
高温のマグマが噴出し,冷えて固まるとき,中に含まれる磁性鉱物は地球の磁極方向に磁化され,磁石の性質が残されます。
1926年,京都大学の松山基範(まつやまもとのり)博士は,玄武洞の石の磁性の方向が,今と反対の南を向くことを発見しました。
つまり玄武岩がつくられたおよそ160万年前の地磁気は現在の地磁気とは南北が逆方向であったわけで,このような地磁気の研究から大陸移動などの地球の仕組みがわかるようになりました。