2027年に横浜で開催されるGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)の交通円滑化推進会議(第 1 回)が2025年12月23日に行われました。
会期中の円滑な来場者輸送を実現するため、「交通需要マネジメント(TDM:Transportation Demand Management)」の導入が重要なテーマとなっています。
TDMとは、道路や鉄道を単純に増やすのではなく、人やモノの移動そのものを調整・分散することで混雑を抑える考え方です。大阪・関西万博(2025年)でも実施され、その成果を踏まえた検討が進められています。
横浜園芸博の会場である旧上瀬谷通信施設は、会場直結の鉄道駅がないという特性があります。来場者は、周辺4駅からのシャトルバスや自家用車、団体バスなどを利用することになり、特定の時間帯・ルートに交通が集中する可能性があります。
会場周辺では、環状4号線や八王子街道などで、一部時間帯に現況の最大交通量や交通容量を超える可能性が指摘されています。道路の拡幅や交差点改良といったハード対策は進められていますが、繁忙期に渋滞が発生すると解消までに時間を要しシャトルバス運行にも影響が出るというリスクが残ります。
相鉄線・東急田園都市線・JR横浜線といった会場アクセス路線では、繁忙期でも混雑率100%を大きく超えないと予測されています。
一方で、横浜駅・新横浜駅などの乗換動線など、局所的な混雑の可能性は残されています。
特に繁忙期には、
すると予測されており、時間帯ごとの偏りをどう抑えるかが大きな課題です。
2025年の大阪・関西万博では、以下のようなTDM施策が実施されました。
これらの施策により、鉄道・道路ともに極端な混雑を回避する一定の成果が確認されました。
横浜園芸博では、大阪・関西万博の実績を踏まえ、段階的にTDMを導入していく方針が示されています。
| 年度 | 主な内容 |
|---|---|
| 2025年 | 取組メニューの検討 |
| 2026年 | TDMトライアルの実施、トライアル結果を踏まえた検証・改善 |
| 2027年 | 会期中にTDMを本格実施(状況に応じて強弱を調整) |
企業・住民への働きかけや、輸送対策協議会との連携を進めながら、会期中も効果検証を行い、柔軟に対応していくとされています。
TDMは、来場者に我慢を強いる仕組みではなく、
といった小さな行動変容の積み重ねによって、都市全体の快適さを守る取り組みです。
横浜園芸博は、持続可能な都市交通のあり方を示す実験場にもなりそうです。
なお、資料2の前半に示された来場者数の試算は、2025年5月時点の資料をもとに、夜間開催の有無によって区分して算出されたものです。その後、12月に入場料が公表され、会期を通して9:30〜21:30の開催を想定していることが明らかになりました。
今後、「来場者輸送実施計画(第2版)」が公表され次第、実際の運営内容に即した新たな試算が示されるものと考えられます。