万博と園芸博の違いとは?GREEN×EXPO 2027が「両方」である理由
「横浜花博」「横浜園芸博」、そしてキャッチフレーズは「次の万博は横浜で」──2027年に横浜で開かれる GREEN×EXPO 2027(横浜グリーンエクスポ) は、いろいろな呼ばれ方をしています。正式名称は「2027年国際園芸博覧会」。ここで気になるのが「万博と園芸博って、そもそも何が違うの?」「園芸博なのに“次の万博”でいいの?」という素朴な疑問です。
結論を先にお伝えすると、実はこの2つは まったくの別物ではありません。GREEN×EXPO 2027は「園芸博」でありながら、同時に「万博(国際博覧会)」の一種でもあるのです。この記事では、その関係をわかりやすく整理していきます。
BASIC 01そもそも「万博(国際博覧会)」とは?
「万博」は「万国博覧会」の略で、正式には 国際博覧会 といいます。英語では EXPO(エクスポ/エキスポ)。1851年にロンドンで開かれた第1回を皮切りに、世界各地で開催されてきました。
万博は誰でも自由に名乗れるわけではありません。パリに本部を置く BIE(博覧会国際事務局) が、国際博覧会条約にもとづいて承認したものだけが「万博」を名乗ることができます。そして万博には、規模やテーマの範囲によって大きく2つの種類があります。
登録博(登録博覧会)
総合的で大規模な万博。原則5年に1度、会期は最長6か月。参加国が自国のパビリオンを建てます。1970年大阪万博、2005年愛知万博、2025年大阪・関西万博がこれ。
条約上の正式区分は “International Registered Exhibition”。
認定博(認定博覧会)
登録博と登録博のあいだに開かれる、テーマを絞った万博。会期は最長3か月、会場面積は25ヘクタール以内が原則です。
条約上の正式区分は “International Recognised Exhibition”。
※1988年の条約改正より前は、この2区分は「一般博」「特別博」と呼ばれていました。
BASIC 02「園芸博(国際園芸博覧会)」とは?
一方の「園芸博」は、正式には 国際園芸博覧会 といいます。こちらを所管しているのはBIEではなく、イギリス・オックスフォードシャーに本部を置く AIPH(国際園芸家協会)。花と緑、園芸・造園の振興を目的に開かれる博覧会です。
園芸博はAIPHによって A1・B・C・D の4つの区分 に分けられており、そのなかで最も規模が大きく格式が高いのが A1(最上位)クラス。GREEN×EXPO 2027は、このA1クラスに認定されています。日本でA1クラスの国際園芸博覧会が開かれるのは、1990年の「国際花と緑の博覧会(大阪花博)」以来、37年ぶり2回目となります。
| 区分 | 名称(英語表記) | 会期 | 最低面積 | BIE承認 |
|---|---|---|---|---|
| A1 | 国際園芸博覧会 International Horticultural Exhibition (かつては「世界園芸博覧会/World Horticultural Exhibition」とも) |
3〜6か月 | 50ha | 必要 |
| B | 国際園芸博覧会 現在の英語名は International Green Exhibition (旧A2・B1/国交省資料の訳は「国際園芸博覧会」) |
3〜6か月 | 25ha | ― |
| C | 国際園芸展 International Horticultural Show(旧B1) |
4〜20日 | 0.6ha | ― |
| D | 国際園芸見本市 International Horticultural Trade Exhibition |
― | ― | ― |
区分と要件:AIPH公表資料および国土交通省資料より。日本語名称は国交省資料の表記にもとづきます。AIPHは近年、B区分の英語名を「International Green Exhibition」に改めており、日本語の定訳はまだ定まっていません。A1は1つの国で10年に1回まで、世界で1年に1つだけという制限があり、登録博と重ならないよう西暦の末尾が0・5の年は避けて開催されます。
POINT 03実は、園芸博も「万博」の一種だった
ここがこの記事のいちばんの肝です。A1クラスの国際園芸博覧会は、AIPHの承認を受けるだけでなく、BIE(博覧会国際事務局)の「認定」も必要 とされています。そしてBIEの認定を受けた園芸博は、条約上「認定博」というカテゴリーの国際博覧会(=万博)として扱われるのです。
GREEN×EXPO 2027は、AIPHが承認する「園芸博」であり、
同時にBIEが認定する「認定博(万博の一種)」でもある。
「GREEN×EXPO」という名前が付けられているのも、キャッチフレーズ「次の万博は横浜で」が使われるのも、こうした背景があるからなんですね。
関係を図にすると、こうなります。
A1園芸博は「認定博」の枠に入り、「認定博」は「万博」の一種。だから園芸博も万博。
BIEが主催・監督する博覧会は「World Expos(登録博)」「Specialised Expos(認定博)」「Horticultural Expos(園芸博)」「Triennale Milano(ミラノ・トリエンナーレ)」の4種類。園芸博はBIE公式の正式カテゴリーで、1960年以降23回がBIE認定を受けています。
COMPARE 04大阪・関西万博とGREEN×EXPO 2027を比べてみる
同じ「EXPO」でも、2025年の大阪・関西万博(登録博)と2027年のGREEN×EXPO(認定博・A1園芸博)では、性格がかなり異なります。表で整理してみましょう。
| 項目 | 大阪・関西万博(2025) | GREEN×EXPO 2027 |
|---|---|---|
| 正式名称 | 2025年日本国際博覧会 | 2027年国際園芸博覧会 |
| 種別 | 登録博 | 認定博(A1国際園芸博覧会) |
| 所管する国際機関 | BIE | AIPH承認 + BIE認定 |
| テーマの範囲 | 総合的(いのち・未来社会など) | 園芸・花と緑に特化 |
| テーマ | いのち輝く未来社会のデザイン | 幸せを創る明日の風景 |
| 会場 | 大阪市・夢洲 | 横浜市・旧上瀬谷通信施設 |
| 会期 | 2025年4月13日〜10月13日 | 2027年3月19日〜9月26日(192日間) |
同じ「日本で開かれるEXPO」でも、大阪は「社会全体の未来」を総合的に描く登録博、横浜は「花と緑」にテーマを絞った認定博(園芸博)、という違いがあることがわかります。
HISTORY 05これまでの万博、これからのEXPO
最後に、2つの系譜を一覧で見てみましょう。まずは日本で開かれてきた「万博(国際博覧会)」の歴史です。1990年の大阪花博と2027年のGREEN×EXPOは、園芸博でありながら万博(認定博)でもある“両方の顔”を持つ存在です。
「A1園芸博」のタグが付いた1990年と2027年だけが、園芸博と万博の“両方の顔”を持つ博覧会です。
なお日本の外に目を向けると、BIEの万博(登録博・認定博)はこの先も続いていきます。世界のEXPOカレンダーの中に置いてみると、GREEN×EXPO 2027はベオグラード万博と同じ2027年に開かれる“もう一つのEXPO”だとわかります。
| 開催年 | 名称(開催地) | 種別 | 会期 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 大阪・関西万博(日本・大阪) | 登録博 | 2025/4/13〜10/13 |
| 2027 | GREEN×EXPO 2027(日本・横浜) | 認定博(A1園芸博) | 2027/3/19〜9/26 |
| 2027 | ベオグラード万博(セルビア) | 認定博 | 2027/5/15〜8/15 |
| 2029 | コラート国際園芸博覧会(タイ) | 認定博(A1園芸博) | 2029/11/10〜2030/2/28 |
| 2030 | リヤド万博(サウジアラビア) | 登録博 | 2030/10/1〜2031/3/31 |
| 2031 | ミネソタ国際園芸博覧会(アメリカ) | 認定博(A1園芸博) | 会期未発表 |
ベオグラード万博のテーマは「Play for Humanity – Sport and Music for All」、リヤド万博は「Foresight for Tomorrow」。コラート国際園芸博(タイ)はA1園芸博として2026年2月にタイ政府がBIEに認定を申請済みで、タイでのA1開催は2006年のチェンマイ以来2回目です。ミネソタ国際園芸博(アメリカ)はAIPHがA1として暫定承認した米国初のA1園芸博で、BIE認定と会期は今後決定される見込みです。2027年は横浜とベオグラード、世界で2つのEXPOが開かれる年です。
「日本の花博」と聞いて思い浮かぶのは、大阪花博だけではないかもしれません。2000年の淡路花博(ジャパンフローラ2000)、2004年の浜名湖花博(パシフィックフローラ2004)も、海外の参加を得たAIPH承認の国際園芸博覧会でした。ただしこの2つは、BIEが承認した「国際博覧会(万博)」ではありません。国際博覧会と呼べるのは、BIE条約にもとづいて政府が開催申請してBIEの承認を受け、政府およびその委託を受けた博覧会協会が中心となって運営するものだけ。日本の園芸博でこの条件を満たすのは、A1クラスの大阪花博とGREEN×EXPO 2027の2つです。
淡路花博・浜名湖花博はAIPH承認の国際園芸博(B区分)ですが、BIE承認の国際博覧会(万博)ではありません。「万博でもある園芸博」は1990年大阪花博と2027年GREEN×EXPOの2つだけです。なお日本は、1984年のリバプール(英)以降に海外で開かれたA1園芸博へ「日本庭園」をテーマに国土交通省が政府出展を続けており、2019年の北京国際園芸博からは屋内出展を担当する農林水産省と連携した一体的な出展を行っています。
AIPHが承認する園芸博のうち、最上位の「A1」だけがBIEの認定を受けて“万博(認定博)”になれます。区分ごとに、今後の開催予定を並べてみましょう。
区分・想定来場者数・テーマ:AIPH(国際園芸家協会)公表資料等より(2026年7月時点)。2026年9月にイタリア・バーリで開かれる第78回AIPH年次総会の国際園芸博会議で、これら各博覧会の進捗が報告される予定です。なおポーランドのウッチ(テーマ「Nature of the City」)は2018年に2024年開催のA1として承認されましたがコロナ禍で延期となり、2029年開催を目指して調整中で、AIPHの現行の開催予定一覧には掲載されていません。区分・計画は今後変更となる可能性があります。
SUMMARY 06まとめ
- 万博(国際博覧会) は、BIEが承認する博覧会。「登録博」と「認定博」の2種類がある。
- 園芸博(国際園芸博覧会) は、AIPHが承認する花と緑の博覧会。A1・B・C・Dの4区分があり、最上位がA1。
- A1クラスの園芸博はBIEの認定も受けるため、「認定博」=万博の一種 でもある。
- だから GREEN×EXPO 2027は「園芸博」であり、同時に「万博」でもある。
キャッチフレーズの「次の万博は横浜で」──実は条約上もまったく正しい表現だったんですね。2027年、花と緑あふれる横浜のEXPOをぜひ楽しみにお待ちください。
関連リンク
- GREEN×EXPO 2027 公式サイト(2027年国際園芸博覧会協会)
- GREEN×EXPO 2027 公式チケットサイト(前売券は2026年3月19日から販売中)
- 日本政府苑 GREEN×EXPO 2027(政府出展の公式サイト)
- Expo 2027 Yokohama(BIE 博覧会国際事務局・英語)
- About Horticultural Expos(BIEによる園芸博の解説・英語)
- AIPH(国際園芸家協会)(英語)
- 大阪・関西万博(EXPO 2025)公式サイト
- 日本万国博覧会(1970年大阪万博)について(万博記念公園)
今後の万博・園芸博
- Expo 2027 Belgrade(ベオグラード万博)(BIE・英語|2027年の認定博)
- Expo 2030 Riyadh(リヤド万博)(BIE・英語|次の登録博)
- ウドンタニ国際園芸博覧会2026 公式サイト(英語)
- EXPO 2029 ŁÓDŹ(ウッチ国際園芸博覧会)公式サイト(ポーランド・英語)
- Korat Expo 2029(2029年コラート国際園芸博覧会)(タイ・TCEB/英語)
- タイ王国とGREEN×EXPO 2027が公式参加契約を調印(GREEN×EXPO協会/PR TIMES)
- Udon Thani Expo 2026(AIPH・英語)
- AIPH承認の今後の国際園芸博一覧(AIPH・英語|蔚山・コラート・ミネソタなど)
- AIPH Approved Expo Categories(A1・B・C・Dの区分)(AIPH・英語)
- 国際園芸博覧会(A1)への政府出展(国土交通省)
- AIPH第78回年次総会・国際園芸博会議(バーリ/2026年9月)(AIPH・英語|各園芸博の最新区分と進捗)

