リヤド万博2030とは|会期・会場・参加国の最新情報
大阪・関西万博が閉幕したあと、世界がつぎに集まる登録博はサウジアラビアの首都リヤドです。会期は2030年10月1日から2031年3月31日までの181日間、テーマは「Foresight for Tomorrow(あすを見通す力)」。
この記事は2025年に公開した紹介記事を、2026年9月時点で確認できる情報にまるごと差し替えたものです。会場の規模、準備の進み具合、日本の参加、閉幕後のまちづくりまでを順番に見ていきます。

SECTION 01リヤド万博2030の基本情報
リヤド万博(Expo 2030 Riyadh)は、2023年11月28日のBIE(博覧会国際事務局)総会で開催地が決まった万博です。韓国・釜山、イタリア・ローマとの争いになり、1回目の投票でリヤドが119票を集めて選ばれました。
ジェトロのレポートによると、サウジアラビア政府が提示した総予算は約78億ドルで、会場を100%クリーンエネルギーで運営することなどを公約に掲げていました。あわせて、パビリオン建設や技術支援、旅費などの名目で100カ国以上の途上国に総額3億4,300万ドルの支援パッケージを明記しています。
数字で見るリヤド万博
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会期 | 2030年10月1日 ~ 2031年3月31日(181日間) |
| 開催地 | サウジアラビア・リヤド市北部 |
| テーマ | Foresight for Tomorrow(あすを見通す力) |
| 種類 | 国際博覧会条約に基づく登録博覧会 |
| 会場面積 | 約600万㎡ |
| パビリオン | 230棟以上(公式サイト) |
| 来場想定 | 4,200万人以上 |
| 参加国・地域 | 197カ国・地域を想定(2026年6月時点で135カ国が参加を確認) |
公式サイトは「230以上」、2026年6月のBIE総会でリヤド万博公社(ERC)のタラル・アル・マリCEOは「225棟以上」と説明しています。数字に幅があるため、この記事では出典を添えて両方を載せています。
「次の万博」の整理のしかた
「大阪・関西万博の次の万博」という言い方は、実は2通りの意味で使われます。5年に1度の大規模な登録博としての次がリヤド万博で、そのあいだにはBIEが認定する認定博が複数はさまります。2027年のベオグラード国際専門博(登録博ではなく専門博)や、横浜で開かれるGREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)がそれにあたります。
系譜として並べるときは登録博どうしで並べ、認定博は別の区分として書き分けると混乱しません。
関連記事万博と園芸博はどう違う?登録博・認定博・園芸博(A1)の区分をまとめていますSECTION 02テーマ「あすを見通す力」とサブテーマ
メインテーマは「Foresight for Tomorrow」。経済産業省の発表や報道では「あすを見通す力」と訳されています。
サブテーマの示し方は、資料によって2つの形があります。公式サイトでは会場のテーマ地区が変革的技術・持続可能な解決策・豊かな人々の3つで案内されています。いっぽう2026年6月のBIE総会では、アル・マリCEOがテーマを技術/地球環境/人間/文化/国際協働の5つで展開すると説明し、ジェトロのレポートも同じ5つを挙げています。
| 示し方 | 内容 |
|---|---|
| 公式サイト (テーマ地区) | Transformational Technology(変革的技術)/Sustainable Solutions(持続可能な解決策)/Prosperous People(豊かな人々) |
| 2026年6月 BIE総会 | Technology(技術)/Planet(地球環境)/Humanity(人間)/Culture(文化)/Collaboration(国際協働) |
3つは会場を歩くときの地区分け、5つはプログラムの組み立て方、という位置づけと読めます。どちらが置き換わったのかは公表されていないので、今後の発表を待ちたいところです。
SECTION 03会場はリヤド北部、広さは大阪の約4倍
会場はリヤド市の北部にあり、将来整備が予定されるキング・サルマン国際空港に近いエリアです。周辺にはプリンセス・ヌーラ・ビント・アブドゥルラフマン大学や、公共投資基金(PIF)傘下の不動産開発会社ロシン(ROSHN)が手がける複合開発「ロシン・フロント」が集まっていて、万博会場は北部の都市拡張とセットで計画されています。
面積は約600万㎡。ジェトロによると大阪・関西万博の約155万㎡のおよそ4倍にあたります。敷地内には約225棟のパビリオンが建ち、自前パビリオン用の区画が最大81、貸し出しパビリオンが44棟、パートナー参加枠が約100という内訳が示されています。植樹は6万1,000本以上、目印になる大型建築(シグネチャー・ビルディング)は6棟の計画です。
アクセス面では、会場に専用のメトロ駅が設けられ、キング・ハーリド国際空港や市内の主要地点から直接入れるようにする計画がERCから示されています。キング・サルマン通りの拡幅も進んでいます。
暑さと向き合う会場デザイン
公式サイトが会場デザインとして挙げているのは次の3点です。砂漠気候の街で半年間の万博を開くための工夫が、そのまま設計の軸になっています。
地形に沿わせる
ワディ・アル・スライ(涸れ川)の地形から着想し、既存の等高線に沿って会場を計画。人の動きと雨水の流れをまとめて扱います。
フラクタル幾何学
自然界の反復パターンを応用した配置で、歩いて回りやすく距離の短い動線をつくります。
クール・ルート
日陰の動線、水を使った仕掛け、水の消費が少ない植栽で、屋外でも過ごしやすい場所をつくります。
設計・施工を担う顔ぶれ
コンセプトのマスタープランは、ドイツとオーストラリアを拠点とする建築デザイン事務所LAVAが担当しました。その後の詳細なマスタープランは英国のビューローハッポルドがリードデザインコンサルタントとしてまとめ、会場インフラ全体の進捗管理と建設統括は米国のベクテルがPMC(プロジェクト・マネジメント・コンサルタント)として担っています。米国のジェイコブスも初期段階から関わっています。
プロジェクト全体を統括するのは、PIFが設立したリヤド万博公社(Expo 2030 Riyadh Company=ERC)です。会場の建設・運営から閉幕後の跡地開発までを一体で管理する組織で、基幹インフラの工事はネスマ&パートナーズやアル・ヤママなど地元の大手が受注しています。
SECTION 04準備はどこまで進んだか
開催地が決まってからの動きを時系列で並べると、いまどの段階にいるのかが見えてきます。
- 2023.11.28BIE第173回総会でリヤドが開催地に決定(119票)
- 2025.6.17BIE第176回総会が登録申請書類を承認し、リヤド万博が正式に登録博として登録。外交ルートでの参加招請が可能に
- 2025.12.16日本政府が公式参加を閣議了解
- 2026.6.16BIE第178回総会でSEE協定(参加国の権利や待遇を定める法的枠組み)の条文を承認。この時点で135カ国が参加を確認
- 2026.8.25ムハンマド・ビン・サルマン皇太子のフランス訪問にあわせ、パリでサウジアラビアとBIEがSEE協定に署名
- 2026.9バーレーン(9月3日)、オマーン(9月6日)が参加契約に署名
- 2026.11.3-4リヤドで第1回国際参加者会議(IPM)を開催予定
工事の進み具合も数字で公表されています。ジェトロが2026年6月下旬時点でまとめたところでは、土工700万立方メートル、整地290万平方メートルが完了し、現場では600台以上の重機が動いています。2026年8月の報道では、掘削と埋め戻しが約800万立方メートル、全長7.5キロの基幹ユーティリティー回廊のうち2キロが完成し、無災害の作業時間が210万時間に達したと伝えられました。工事にあわせて樹木719本の移植も行われています。
SEE協定の署名で、参加国は設計・建設・運営を進めるための正式な枠組みを手にしました。2026年秋からは各国が順番に参加契約を結び、11月のIPMで実務的な打ち合わせが始まります。大阪・関西万博のときと同じ流れが、5年前倒しでリヤドでも動き出しているところです。
SECTION 05参加国と、参加契約を結んだ国
万博の参加国は、ひとつの発表でまとめて決まるわけではありません。国が参加の意思を示し、主催者がそれを参加確認として数え、最後に参加契約(Participation Contract)を結んでパビリオンの位置や規模が固まる、という順に進みます。リヤド万博はちょうど、2番目から3番目へ移りはじめたところです。
参加国の数はどこまで増えたか
| 時点 | 発表元と内容 |
|---|---|
| 2026年6月16日 | BIE第178回総会で、アーデル・アル・ジュベイル総代表(サウジアラビア外務担当国務大臣)が135カ国が参加を確認と報告 |
| 2026年6月下旬 | ジェトロのレポートは「100カ国以上が登録を完了し、複数の国・機関と参加条件を交渉中」と記載 |
| 想定 | 公式サイトは参加国・地域を197、アラビア語報道では国際機関29と伝えられています |
どの国が参加を確認したのかという一覧は公表されていません。この記事では、主催者や各国政府の発表で確認できた国だけを下の表に載せ、新しい発表があるたびに追記していきます。
参加契約を結んだ国の一覧
2026年8月25日にサウジアラビアとBIEがSEE協定に署名し、各国が参加契約を結べる状態になりました。2026年9月21日の時点で発表が確認できているのは、次の3か国です。
| 署名日 | 国 | 発表されている内容 |
|---|---|---|
| 2026年8月25日 | フランス | パリで署名。リヤド万博公社(ERC)のタラル・アル・マリCEOと、フランス博覧会会社(COFREX)のジャック・メール会長が署名し、ファイサル・ビン・ファルハーン外相とBIEのディミトリ・ケルケンツェス事務局長が同席。契約でパビリオンの位置・規模・テーマまで決まっています |
| 2026年9月3日 | バーレーン | マナマで署名。バーレーン文化財・古物局のハリーファ・ビン・アハマド・アール・ハリーファ総裁とアル・マリCEOが署名 |
| 2026年9月6日 | オマーン | リヤドの万博会場で署名。文化・スポーツ・青少年省のサイード・スルタン・アル・ブサイディ次官がオマーン館の政府代表として署名し、署名後にオマーン館の予定地を視察 |
1番目に署名したフランスは、パビリオンの中身まで先に公表しています。場所は「Planet(地球環境)」地区で、テーマは「Under One Sky」。空・大地・火・水の4つの要素で構成し、環境保全やエコロジカル・トランジションに関わる技術を見せる内容だと説明されています。地区名がサブテーマの名前と一致している点は、SECTION 02で触れた5つの軸とつながる部分です。
参加契約はここから各国で順に結ばれていき、2026年11月3・4日の第1回国際参加者会議(IPM)が次の節目になります。大阪・関西万博でも、参加契約の締結と参加者会議を重ねながら出展の中身が固まっていきました。
SECTION 06日本の参加と、大阪からの引き継ぎ
日本政府は2025年12月16日の閣議でリヤド万博への公式参加を了解しました。幹事省は経済産業省、副幹事省は農林水産省と国土交通省、参加機関は日本貿易振興機構(JETRO)という体制です。
経済産業省は参加の意義として、国際社会における日本理解を深める機会であること、大阪・関西万博の成果を継承する責務を果たすことを挙げています。ジェトロも、日サウジ・ビジョン2030の枠組みのもとで、日本企業が強みを持つスマートインフラ技術や都市設計の知見がリヤドのまちづくりに生かされることへの期待を示しています。
大阪・関西万博の会期中には、閉会式の前にリヤドへのバトンを渡すステージが行われ、BIE旗の引き渡しも大阪の会場で実施されました。日本館のコンセプトや出展企業など具体的な中身はまだ発表されていないので、続報が出しだいこの記事にも追記していきます。
関連記事日本、2030年リヤド国際博覧会への公式参加を閣議了解幹事省・副幹事省・参加機関と、参加の意義をまとめていますSECTION 07閉幕後は「グローバル・ビレッジ」へ
リヤド万博は、閉幕後の使い道を最初から前提にして設計されています。跡地は「グローバル・ビレッジ」と呼ばれる複合都市へ転換される計画で、商業・文化・小売・飲食・教育・住宅・ビジネスの機能を組み合わせた街になるとERCは説明しています。アル・マリCEOは2026年5月の取材で、建造物の95%以上を万博後に再利用する方針を語りました。
道路、電力、上下水道、通信といった基幹インフラは閉幕後もリヤド北部の都市拡張を支えるものとしてそのまま使われ、広い公園や歩行者空間は市民の公共空間として残ります。会期中の6か月だけでなく、その後の数十年をどう使うかから逆算して計画されている点は、跡地利用が議論になった万博を見てきた身としては気になるところです。
経済面では、GDPへの670億ドルの貢献、直接・間接あわせて17万1,000人の雇用創出、5万2,000人のボランティア育成という見通しがERCから示されています。
SUMMARYまとめ
- リヤド万博の会期は2030年10月1日〜2031年3月31日の181日間。大阪・関西万博の次の登録博にあたります
- テーマは「Foresight for Tomorrow(あすを見通す力)」。サブテーマは公式サイトの3区分と、BIE総会で示された5つの軸の2通りの示し方があります
- 会場はリヤド北部の約600万㎡で、大阪・関西万博の約4倍。パビリオンは225〜230棟規模、植樹は6万1,000本以上
- 2026年6月時点で135カ国が参加を確認。8月のSEE協定署名を受けて、フランス・バーレーン・オマーンが参加契約を結びました
- 日本は2025年12月16日に公式参加を閣議了解(幹事省=経済産業省、参加機関=JETRO)
- 閉幕後の跡地は「グローバル・ビレッジ」へ。建造物の95%以上を再利用する方針です
開幕まではまだ4年あります。とはいえ、参加国の契約や日本館の中身は2027年にかけて次々に発表されていくはずで、横浜のGREEN×EXPO 2027を追いかけている時期とちょうど重なります。リヤドの続報が出たらこの記事を更新していきます。
