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<レポート記事>「いのちの未来+」初日体験|漱石アンドロイド2.0との対話、動いて舞う3体のMOMO

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「いのちの未来+」体験レポート|漱石アンドロイド2.0との対話、3体のMOMO、サイン本まで

7月25日に開幕した「いのちの未来+」(MoN Takanawa)に、開幕直後に足を運んできました。この記事では、入口からゾーン1・2・3をたどる順路に沿って、実際に会場を回って気づいたことをレポートします。あわせて、新設された「漱石アンドロイド2.0」との対話体験の様子も。展示の核心的なネタバレは避けつつ、これから行く人が知っておくと動きやすいポイントを中心にまとめました。

「いのちの未来+」会場のメインビジュアル
MoN Takanawaで開幕した「いのちの未来+」(2026.7.25撮影)

ENTRANCE入口 — スタンプを押して地下へ

会場に入ってすぐ左手に、大阪・関西万博「いのちの未来」公式スタンプラリーのスタンプが置かれています。「FUTURE OF LIFE」のロゴが入った赤いスタンプが2種類。スタンプ帳を持ってくると、ここで押して記念にできます。私はスタンプ帳を持っていなかったので、パンフレットの裏に押しました。まず入口で押してから進むと、押し忘れがありません。

いのちの未来 公式スタンプラリーのスタンプ2種
入口すぐ左にある「FUTURE OF LIFE」公式スタンプ。赤いスタンプが2種類並ぶ(2026.7.25撮影)

スタンプのそばには「わたしは、かつて大阪・関西万博でみなさんと出会った『いのちの未来』です」というメッセージも掲げられ、万博からの地続きを感じさせます。スタンプを押したら、そこから地下へ降りるエスカレーターに乗って展示へ進みます。会場は地下に広がっている構成です。

なお入場特典のステッカーは、受付後に地下2階で受け取れます。もらい忘れないようにしたいところです。

入場特典のステッカー
入場特典のステッカー。受付後、地下2階でもらえる(2026.7.25撮影)

ZONE 1ゾーン1「いのちの歩み」

エスカレーターで降りて最初に迎えてくれるのがゾーン1「いのちの歩み(A Journey of Life)」。赤を基調とした空間に、土偶・埴輪・仏像・能面・文楽人形、そしてアンドロイドが一列に並びます。

ゾーン1「いのちの歩み」に並ぶ土偶・仏像・能面・文楽人形・アンドロイド
ゾーン1「いのちの歩み」。土偶から文楽人形、アンドロイドまでが一列に並ぶ(2026.7.25撮影)

八百万の神やアニミズムが根付いた日本では、いつの時代も擬人化したモノが人と共生し、精神性や文化に影響を与えてきました。ここに並ぶのは、人間が歴史的に「人のかたち」をしたものに、いかにいのちの宿りを見出してきたかを示す系譜。そしてその最先端に位置づけられるのがアンドロイドです。

人間に極限まで接近した存在に、私たちは「いのち」を感じ取るのか——本展はこの原初的な問いから始まります。この並びを見てから先へ進むと、続く展示の意味が受け取りやすくなります。

受付を早めにしておくと、キャプションなどもゆっくり見ることができます。そして注目したいのが、一番右に置かれたアンドロイド。よく見ると瞬きなどの動きも見られます。土偶や仏像といった「静」の並びの最後に、ひとつだけ微かに動いているものがある——その対比こそが、このゾーンの主題を体現しているように思えました。

なお、ゾーン1を見終えると同じ回の人たちがまとめて次へ進む形になります。これも万博と同じ進行方式ですね。

ZONE 2ゾーン2「50年後の未来」

ゾーン1を抜けると、壁いっぱいに写真が飾られたコーナーが現れます。祖母と孫、赤ちゃんを抱く手、砂浜を歩く子ども——いのちの営みをとらえた一枚一枚が、これから展開される家族の物語への入口になっています。

木の棚に飾られた家族やいのちをテーマにした写真の数々
いのちの営みをとらえた写真が木の棚いっぱいに並ぶコーナー(2026.7.25撮影)

ここから始まるのがゾーン2「50年後の未来」。人間がアンドロイドと共存し、高度なテクノロジーを用いたプロダクトを活用しながらいきいきと暮らす日々を、物語の中に入り込むことで追体験するメイン展示です。部屋から部屋へと移動しながら物語が進んでいくので、その動線ごとに追ってみます。

専用ヘッドセットを装着して進みます

このゾーンは、来場者が専用のヘッドセットを装着し、音声ガイダンスに導かれながら体験する構成です。物語に音声で入っていく形なので、装着したら案内に従って進みましょう。

1つめのエリア — ヤマトロイドが見つめる未来

最初のエリアでは、50年後の未来の映像を、アバターアンドロイド「ヤマトロイド」が見つめています。約60カ所の可動部が生み出すなめらかな所作は、人間とアンドロイドが隣り合わせで暮らす50年後の日常を、確かなリアリティで体現していました。

アバターアンドロイド「ヤマトロイド」
アバターアンドロイド「ヤマトロイド」(2026.7.25撮影)
50年後の未来を描いた映像
ヤマトロイドが見つめる、50年後の未来の映像(2026.7.25撮影)

2つめの部屋 — 祖母と少女の物語、そして電車の旅

次の部屋は、電車を再現した空間。実際に座席に座ることができます。車窓に流れる未来の風景を楽しんでいると、突然、電車が大きなバブルに包まれて仮想空間へ突入。アトラクションに乗っているような楽しさがあります。

電車の座席に座るアンドロイドの男の子
電車の座席に座るアンドロイドの男の子。来場者も同じように座席に座れる(2026.7.25撮影)

その後、トンネルに入った電車の薄暗い車内には、祖母と少女の姿が。少女が「そこの席に座っている人いるでしょ、あの人アンドロイドだよ」と言うと、祖母は「全然わからなかった」と返します。見分けがつかないほど自然に、アンドロイドが日常に溶け込んでいる——この短いやりとりが、50年後という設定を一気に腑に落としてくれます。自分もいま同じ座席に座っていた、という体験があるからこそ効く演出です。

そして物語は一転します。神妙な表情の祖母が映し出され、どうやら健康状態に不安があるよう。未来の病院のような施設で、祖母は重大な話を聞きます。

医師から選択肢の説明を受ける祖母の映像
アンドロイドとして生きるか、自然な寿命を迎えるか。祖母が医師から選択肢を告げられる(2026.7.25撮影)
50年後に突きつけられる選択

「寿命を全うする、もしくはアンドロイドに記憶を引き継ぐ……。どの選択肢を選ぶのも自由です」——50年後の未来では、肉体は死んでも記憶や意識をアンドロイドに移して生き続けられるというのです。生命は永遠を得る。けれど同時に、「アンドロイドとなった自分は、果たして『自分』と言えるのか」という新たな問いが立ち上がります。

万博との違い — 移動せず、同じ空間で続く

万博会場では、この場面は次のエリアへ進んでから見る流れでした。本展では移動せず、同じ空間の右手上方に映し出されます。電車に座ったまま物語が続いていく形で、演出の切り替わりがより地続きに感じられました。

決断のとき、そして「+」で追加されたシーン

続く映像からは、楽しい時も悲しい時も、少女の横にはいつも祖母がいたことがわかります。やがて年月がすぎ、年老いた祖母がいよいよ自分の命の決断をする時が来ました。

年老いた祖母が命の決断をする場面
年老いた祖母が、いよいよ自分の命の決断をする(2026.7.25撮影)
ここからが「+」で追加されたコンテンツ

映像が流れたあと、アンドロイドたちが「いのち」について会話を始めます。さらに驚いたのが、会場にいる私たちに向かって挙手を求めるシーンがあったこと。万博では祖母の決断を想像する体験にとどまっていたものが、本展では鑑賞者一人ひとりに「あなたならどうするか」を主体的に問う構成へと進化していました。物語を見届ける側から、選択を迫られる側へ——万博を体験した人ほど、この変化に驚かされるはずです。

「いのち」について会話するアンドロイドたち
「いのち」について会話を交わすアンドロイドたち。問いは客席にも向けられる(2026.7.25撮影)

ちなみに万博会場では、このあと漱石アンドロイドやマツコ・デラックスさんを模した「マツコロイド」が登場する部屋がありました。本展で漱石アンドロイドがどう扱われているかは、記事の後半でふれます。

ZONE 3ゾーン3「1000年後のいのち“まほろば”」— MOMO

展示の奥で待っているのが、進化した人間「MOMO(モモ)」。ここがゾーン3「1000年後のいのち“まほろば”」です。アンドロイドと生身の人間の境界が消失した1000年以上先の未来が提示される空間で、テクノロジーの進歩によって肉体という制約から解放され、自由に姿を選べるようになった人間が表現されています。

そこに現れるMOMOは、進化を遂げた人間=「ミレニアムヒューマン」。全身を覆うシリコンスキンが放つ有機的な質感と、生き物特有の柔らかさや表情を備えた躯体が、旋回・上下・前後を組み合わせた浮遊感のある動作を繰り返します。光やスモーク、香り、音楽といった演出が、その動きに重なります。

紫の光のなかで舞うアンドロイド「MOMO」
ゾーン3「1000年後のいのち“まほろば”」で浮遊するMOMO。神秘的で幻想的(2026.7.25撮影)

神秘的で幻想的な光景に、まるで別世界にいるような気持ちになります。それでいて、MOMOと目が合った瞬間に感じたのは、確かに「いのち」でした。アンドロイドと生身の人間の隔たりがなくなった1000年以上先の未来——そんな設定を頭で理解する以前に、視線が交わったときに何かが通う感覚がありました。石黒浩氏が「肉体という表層ではなく精神性こそが人間らしさになる」と語る未来像が、この一瞬に凝縮されているように感じます。

そして、てっきり1体だと思い込んでいたMOMOが、実際には3体が動く様子を見られたことにも驚きました。「万博のあとに新しくつくったのだろうか?」——現地ではそんな疑問が浮かびました。

MOMOは何体いるのだろう?

万博で活躍したMOMOは、閉幕後に3か所へ移ったと聞きます。長谷工ミュージアム(東京・多摩センター)、KICK=けいはんな(京都、通常公開はなし)、そして7月からのMoN Takanawa(東京・高輪)です。ただ、高輪だけで3体。多摩センターと京都にそれぞれ1体ずついるとすれば、合わせて5体という計算になります。万博の時点で何体いたのか、移設なのか増設なのかは、公表された情報が見当たりませんでした。ご存じの方がいたら教えていただきたいところです。

B2F & SHOPパネル展示と、チケット不要の物販エリア

体験を終えると、地下2階にはパネルボードによる展示が用意されていました。展示を見終えたあとに、あらためて内容を振り返れる構成です。

地下2階のパネル展示
地下2階のパネル展示。体験の余韻のなかで内容を振り返れる(2026.7.25撮影)

そして地下1階の出口を出ると、物販エリアが広がっています。「FUTURE OF LIFE +」のオフィシャルグッズが並び、Tシャツやキャップ、トートバッグ、アクリルグッズなどラインナップは幅広め。入口には全商品と価格を掲げた案内ボードが立っていました。

物販エリアはチケットなしでも入れます

この物販エリアは、展覧会のチケットを持っていなくても利用できます。グッズやサイン本だけを目当てに立ち寄ることもできるということ。展示は予約が取れなかったけれどグッズは欲しい、という場合にも足を運ぶ価値があります。

FUTURE OF LIFE+のオフィシャルグッズ案内ボードとTシャツ
入口に立つオフィシャルグッズの案内ボード。Tシャツやキャップが並ぶ(2026.7.25撮影)

書籍コーナーで目を引いたのが、石黒浩氏のサイン付き書籍。話題になった『いのちの未来2075 人間はロボットになり、ロボットは人間になる』(2,750円)と、本展の公式図録『いのちの未来』(3,300円)が、それぞれ「石黒浩 サイン付き」として数量限定で販売されていました。

石黒浩氏のサイン付き書籍『いのちの未来2075』
『いのちの未来2075』の石黒浩サイン付き版(2,750円税込)(2026.7.25撮影)
公式図録『いのちの未来』のサイン付き販売
公式図録『いのちの未来』もサイン付きで数量限定販売(3,300円税込)(2026.7.25撮影)

SOSEKI「漱石アンドロイド2.0」との対話体験レポート

本展とは別に、今回の目的のひとつだったのが、新設された「漱石アンドロイド2.0」との対話体験です。本展と同じように入口を入り、ゾーン1「いのちの歩み」の横にあるスペースで体験します。

書斎にいる「漱石アンドロイド2.0」
書斎で来館者を迎える「漱石アンドロイド2.0」(2026.7.25撮影)

体験時間は約3分。ほかの参加者と一緒になることはなく、漱石先生と1対1で対話できます。この「他の人と相席にならない」という設計が、思いのほか大きく効いていました。人目を気にせず話しかけられるので、素朴な疑問もぶつけやすいのです。

体験してわかったコツ

気になることは、どんどん質問したほうが楽しめます。漱石先生は話し続けてくれるので、こちらから積極的に問いを重ねるほど対話が深まります。時間になると「この辺で」と漱石先生自身が締めくくって体験終了。受け身で聞くより、会話を引っぱりにいく姿勢で臨むのが正解でした。

漱石アンドロイド2.0は、二松学舎の卒業生である夏目漱石のアンドロイドが最新AIでアップデートされたもの。自律的な対話が可能になり、漱石にまつわる質問にも自分の言葉で答えてくれます。3分という短さのなかで密度を上げるには、聞きたいことを事前にいくつか用意しておくといいかもしれません。

この体験は別チケットです

漱石アンドロイド2.0との対話体験は展示外企画のため、本展の入場チケットとは別に専用チケット(1枠1,000円・最大3名)が必要です。本展を11:00入場で予約している場合、体験の枠は11:00より前か12:00以降を選ぶ必要があります(入場時刻から60分以内は避ける案内)。時間の組み方だけ、予約前に確認しておくと当日あわてません。

TIPS行く前に知っておきたいこと

実際に回ってみて、これから行く人に伝えたいポイントをまとめます。

レポートまとめ
  • スタンプは入口すぐ左。スタンプ帳を持参すると記念に押せる(パンフレット裏でも可)
  • 受付を早めに済ませると、ゾーン1のキャプションをゆっくり見られる
  • 物販エリアは地下1階の出口を出たところ。チケットがなくても買い物できる
  • 漱石体験は本展の入場時刻から60分以内の枠を選べないので、予約の順番に注意

OVERVIEW「いのちの未来+」開催概要

MoN Takanawa: The Museum of Narratives の外観
会場のMoN Takanawa: The Museum of Narratives(2026.7.25撮影)
項目内容
展覧会名いのちの未来+
会期2026年7月25日(土)〜9月25日(金)
※第1期会期中の休演日は8月3日(月)
会場MoN Takanawa: The Museum of Narratives「Box1000」
アクセスJR高輪ゲートウェイ駅直結・改札口から徒歩6分
都営地下鉄浅草線 泉岳寺駅A4出口から徒歩3分
入場有料・要予約(30分ごとの日時指定)
主催いのちの未来研究所(ATR)/MoN Takanawa/株式会社パルコ
共催公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

万博で予約困難だったパビリオンが、東京・高輪で再演されているというだけでも足を運ぶ価値がありますが、ゾーン2に加わった新シナリオや、新設の漱石アンドロイド対話は、万博を体験した人にとっても新鮮でした。会期は9月25日まで。日時指定制で人気も見込まれるので、行く日を決めたら早めにチケットを押さえておくのがよさそうです。開催概要やチケットの詳細は、別記事にまとめています。

出典:筆者取材(2026年7月25日)。展示・アンドロイドの情報はJR東日本文化創造財団のプレスリリース(2026年7月14日)および美術手帖の展覧会レポートを参照。©FUTURE OF LIFE/展示内容は変更となる場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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