<レポート記事>写真展「サウジアラビア 美食紀行」新橋Gallery TENで9月5日まで
新橋駅前ビル1号館の8階にあるギャラリー「Gallery TEN」で、写真展「サウジアラビア 美食紀行 〜交易と聖地巡礼の歴史が育んだ食文化〜」が開かれています。撮影したのは、郷土料理研究家の青木ゆり子 氏。大阪・関西万博のテーマウィークで、日本の洋食をテーマにした展示「世界にはばたけ!Tasty Japan!」を全体監修した方です。
会期は2026年8月14日(金)から9月5日(土)まで、入場は無料。8月26日に会場を訪ねてきました。
SECTION 01新橋駅前ビル1号館の8階、Gallery TENへ
会場のGallery TENがあるのは、新橋駅の日比谷口側に建つ新橋駅前ビル1号館の8階です。ポスターの案内によると、JR線・地下鉄銀座線・都営浅草線の新橋駅からは、いずれも地下通路を経由して徒歩2分。

Gallery TENは、エフケイ株式会社が運営する多目的ギャラリーです。都市、建築、写真、デザインなどを考える場として使われていて、観覧は自由、入場は無料。日曜日は原則として休廊しています。
SECTION 02「交易と聖地巡礼」がサブタイトルになった理由
展示は、青木氏が実際に訪ねたサウジアラビア各地の伝統料理と、それを守り、受け継ぐ人々の姿を紹介する構成です。会場に掲げられた文章によれば、青木氏が初めて現地に立ったのは2024年1月。日本を含む外国人向けの観光ビザが解禁されたのが2019年で、それ以前は一般の旅行者にはほとんど開かれていない国でした。
石油依存からの脱却を目指す国家戦略「サウジ・ビジョン2030」のもとで、都市では観光・文化・エンターテインメント・先端産業が新たな広がりを見せている。その一方で、メッカとマディーナという二大聖地を擁するこの国には巡礼と交易によって育まれた道があり、砂漠のオアシス都市のスークには各地の人々が運んだ食文化が今も息づいている——展示の趣旨として、青木氏はその両方を挙げています。
青木氏はこの体験を、かつての日本の高山や白川郷に降り立ったときの感覚に近かった、とも書いています。サブタイトルの「交易と聖地巡礼の歴史が育んだ食文化」は、そのまま展示の視点を示した一文になっています。
なお主催のe-food.jpの告知では、「実際に味わえる写真展」を目指して、会期中にミニ・食イベントの開催も予定されていることが案内されています。
SECTION 0313州の郷土料理をまとめた冊子は無料配布
会場では、「サウジアラビア13州の郷土料理」をまとめた冊子が無料で配られていました。サウジアラビアは13の州(行政区)に分かれていて、リヤドのある内陸部、紅海に面したマッカ州やマディーナ州、ペルシャ湾側の東部州では、風土も、そこで食べられてきたものも異なります。写真だけでは追いきれない地域ごとの違いを、持ち帰って読める形にしたものです。

SECTION 04撮影者は大阪・関西万博のテーマウィークを監修した青木ゆり子 氏
「世界にはばたけ!Tasty Japan!」の全体監修
撮影した青木ゆり子 氏は、郷土料理研究家で、世界の料理 総合情報サイト「e-food.jp」の代表。NHK「ちきゅうラジオ」の料理ナビゲーター、内閣官房「東京2020ホストタウン事業」の食文化アドバイザーなどを務めてきました。
そして、大阪・関西万博のテーマウィーク「世界にはばたけ!Tasty Japan!」(農林水産省、JETRO/JFOODO)の全体監修を担当しています。これは2025年6月8日から15日までの8日間、EXPOメッセ「WASSE」で開かれたテーマウィークプログラム「RELAY THE FOOD 〜未来につなぐ食と風土〜」の中で行われた、日本の洋食をテーマにした展示です(英語タイトルは Tasty Japan:Flavors in Harmony)。

ブースは、西洋料理が日本に伝わった明治時代の洋食レストランをイメージした造り。青木氏の監修によるパネル展示のほか、5つ星お米マイスターの片山真一 氏がプロデュースした一口カレーライスの試食(6月14日・15日、動物由来原材料は不使用)、日本の果物を使ったフルーツジュースの試飲(6月12日・13日)、洋食に関するミニクイズが用意されました。JFOODOの発表によると、初日の6月8日だけで1,310名(推計・暫定)が訪れています。
日本の洋食を「外から来た料理が根づいて変わっていったもの」として世界に紹介した人が、今度は交易と巡礼が運んだサウジアラビアの食を撮っている、という並びになります。
著書と、毎夏の個展
- 『世界の郷土ごはん −75カ国の伝統メニュー−』(パイ インターナショナル、2025年)
- 『見て、読んで楽しむ 世界の料理365日』(自由国民社、2024年)
- 図鑑NEOまどあけずかん『せかいのりょうり』監修(小学館、2021年)
- 『世界の郷土料理事典』(誠文堂新光社、2020年)
- 『日本の洋食〜洋食から紐解く日本の歴史と文化』(ミネルヴァ書房、2018年)
e-food.jpのプロフィールによると、Gallery TENでの個展は2020年から毎年開かれていて、これまでに「東南アジア ご当地麺紀行」「世界の料理365日」「〈いのちをつむぐ〉世界の郷土料理」などが開催されてきました。2025年の会期中には、大阪・関西万博のナショナルデーへのオマージュとして国別の食イベントも行われています。
SECTION 05大阪の次の登録博は、リヤド
サウジアラビアは、大阪・関西万博で自前建設のパビリオンを出展した国です。設計はフォスター・アンド・パートナーズ。運営者の発表によれば会期を通じて延べ300万人以上が来場し、BIE(博覧会国際事務局)の公式参加者賞では、自前建設パビリオン部門(タイプA/1,500㎡超)の建築・景観部門で金賞を受けています。

そして大阪・関西万博の次の登録博(5年に1度の大規模万博)は、そのサウジアラビアの首都リヤドで開かれます。2023年11月28日のBIE総会での投票でリヤドが選ばれ、会期は2030年10月1日から2031年3月31日まで。テーマは経済産業省の表記で「あすを見通す力(Foresight for Tomorrow)」です。日本は2025年12月16日に公式参加を閣議了解し、幹事省を経済産業省、副幹事省を農林水産省と国土交通省、参加機関をJETROとする体制で準備が進んでいます。
- 2025年大阪・関西万博。4月13日から10月13日まで。サウジアラビア王国館が出展
- 2030年リヤド国際博覧会。2030年10月1日から2031年3月31日まで
写真展の解説に出てくる「サウジ・ビジョン2030」は、リヤド万博の位置づけとしても語られてきた国家戦略です。展示が写しているのは食卓と市場ですが、その背景にあるのは、2030年に万博を開く国が今どう変わろうとしているかという話でもあります。
登録博と登録博のあいだには、テーマを絞った認定博が開かれます。2027年はその認定博が2つあり、ひとつがセルビアのベオグラード万博(5月15日〜8月15日/日本は2025年8月8日に公式参加を閣議了解)、もうひとつが横浜のGREEN×EXPO 2027(3月19日〜9月26日)です。GREEN×EXPO 2027はAIPH(国際園芸家協会)のA1クラスの国際園芸博覧会で、A1はBIEの認定も受けるため、条約上は認定博=万博の一種にあたります(詳しくは万博と園芸博の違いとは?)。
なお、外務省が公表しているGREEN×EXPO 2027への参加表明国・国際機関のリスト(2026年8月4日時点)にサウジアラビアは含まれていません。中東からはカタール、ヨルダン、レバノン、シリア、イエメンが掲載されています。
SECTION 06開催概要とアクセス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 展覧会名 | 写真展「サウジアラビア 美食紀行 〜交易と聖地巡礼の歴史が育んだ食文化〜」(A Culinary Journey through Saudi Arabia) |
| 会期 | 2026年8月14日(金)〜9月5日(土) |
| 開廊時間 | 月曜日〜金曜日/10:00〜18:00 土曜日・祝日/12:00〜18:00 |
| 休廊日 | 日曜日 |
| 会場 | Gallery TEN(新橋駅前ビル1号館 8階) |
| 住所 | 東京都港区新橋二丁目20-15 |
| アクセス | JR線・地下鉄銀座線・都営浅草線 新橋駅から地下通路経由で各徒歩2分 |
| 入場料 | 無料(観覧自由) |
| 撮影 | 青木ゆり子 氏(e-food.jp) |
| 問い合わせ | 03-3572-2231(エフケイ株式会社内)/info@gallery-ten.tokyo |
最終日の9月5日は土曜日にあたるため、開廊は12:00からです。

SUMMARYまとめ
- 写真展「サウジアラビア 美食紀行」は、新橋駅前ビル1号館8階のGallery TENで2026年9月5日(土)まで。入場無料、日曜休廊
- 撮影は郷土料理研究家の青木ゆり子 氏。2024年1月に初めて現地を訪ね、各地の伝統料理とそれを受け継ぐ人々を撮影した
- 会場では「サウジアラビア13州の郷土料理」をまとめた冊子が無料で配布されていた
- 青木氏は、大阪・関西万博のテーマウィーク展示「世界にはばたけ!Tasty Japan!」(農林水産省、JETRO/JFOODO)を全体監修している
- 大阪・関西万博の次の登録博は、2030年のリヤド万博。サウジアラビアは次の万博の開催国です

新橋駅の地下通路から2分、ビルの8階という場所で、2030年に万博を開く国の食卓を見ることができます。会期は9月5日(土)までです。
- 2025年大阪・関西万博の次は? 2030年サウジアラビア・リヤド万博(Expo 2030 Riyadh)の全貌
- 日本、2030年リヤド国際博覧会への公式参加を閣議了解
- 万博と園芸博の違いとは? GREEN×EXPO 2027が「両方」である理由
- GREEN×EXPO 2027 公式参加国まとめ
